デジタル化の流れを止めることはできないよ。


勘違いしてる人も多いと思いますけど、OPM250Lという3Dプリンターは、基本的にパソコンデバイスなんですよ。
つまり、本当のプリンターです。
しかし、ソディックという工作機械メーカーが作ると、なんだかアナログの装置だと思ってします。
これが根本的な発想の間違い。
今まで「職人の技」だった「金型」がデジタルで造形できるようになった訳だけど、かなり年齢の行った職人が、今さらパソコンで「金型」を作るってことは相当大変なこと。
しかし、アナログからデジタルへのトレンドは避けて通れない。
もしかしてOPMラボが一番苦労するのは、これらの熟練工に対してコンセプトを説明する部分かもしれない。
さらに、高いハードルがありますね。
従来の二次元水管から三次元水管への移行という部分。
これに関しては従来工法のノウハウがほとんど役に立たない。
でも、時代は絶対に後戻りできない。
だから、多少の時間は掛っても、パソコンで「金型」を作る時代は必ずやってくる。
「精度」とか「時間」とかという悲観論もなくはないけど、現実にそれらがOPMによってフィックスされてしまった。
HPやアップル、ホンダがその有用性を認識して採用している時点で、もう答えは出てますから。
つまり、時間の問題。
様々なリスクを理解した上で、そのトレンドに乗れた会社だけが甘い蜜を享受することができる。

コンフォーマルクーリングはアプリでは作れない

みんなが勘違いしているもうひとつの部分。
もしかすると、投資家だけじゃなくて、金型業界の人間ですら、勘違いしている可能性が大きいかも。
コンフォーマルクーリングテクノロジー=OPMテクノロジーと言えるほど、この技術は3Dプリンターにとって重要な要素です。
逆に言うと、この技術を使えることが金属3Dプリンターの最大のメリットです。
しかし、3Dプリンターなら、簡単にコンフォーマルクーリングの水管を配することが可能だと、思ってる人も多いでしょう。
MOLDEX3Dというソフトがあります。
これは金型造形のためのCADシステムですけど、現在主要は自動車メーカーのほとんどで利用されています。
そして、OPMは、このMOLDEX3DPにコンフォーマルクーリングのシステムを提供しています。
つまり、MOLDEX3DPのソフトを使う自動車メーカーが金型を設計する場合には、OPMのアプリを利用してコンフォーマルクーリングのシミュレーションを行うことができるわけです。
しかしながら、これで簡単にコンフォーマルクーリングを設計できるわけじゃなくて、最終的には水管の最適化は「人のノウハウ」が必要になります。
しかし、そんなノウハウは従来工法の金型職人は持ってません。
じゃあ、どうするのか。
そこで今まで積み上げてきたOPMテクノロジーが必要になるんです。
OPMが長年培ったコンノーマルクーリングテクノロジーをOPM250Lユーザーと共有するための仕組むを考えたんです。
EOSを始めとする欧米企業は基本的に「金属造形のための知識」は高くても、「コンフォーマルクーリング」の技術は持ち合わせてません。
しかし、サイクルタイム短縮にはこの技術が不可欠であるため、どの金属3Dプリンター開発企業は「コンフォーマルクーリングを配することができる」ということを謳い文句にしています。
ただ、ユーザーが欲する情報は「コンフォーマルクーリングを配することができることではなく」て、「どうのようなコンフォーマルクーリングにすればよいのか」という部分です。
これこそ、最重要な問題です。
どれほどレーザー技術が凄くても、どんなに大きな金型を作れても、この「コンフォーマルクーリングに関するノウハウ」がなくては、まったく意味を成さなくなってしまいます。
差別化の部分では、この技術があったからこそ、HPやアップルがOPMを採用した訳ですね。
だから、OPM250Lが売れない訳がない。
装置が凄いから売れるというよりは、「コンフォーマルクーリング」のノウハウも持つOPMがサポートすることが最も大きな導入動機になります。

まあ、決算があーだこーだという前に、今期どんなサプライズが飛び出すか、楽しみに待つことにしましょう!

デジタル化の流れを止めることはできないよ。」への2件のフィードバック

  1. もとパッパさん、いつもありがとうございます。
    今回の記事も視野を広く、そして深くする気づきとなりました。
    これからも宜しくお願いします。

    今回の内容に関することなのですが、NTTデータエンジニアリングシステムズと言うかEOS社は上手だなと思ったのが、この(少し前の)記事です。

    【金属積層造形スキルを短期習得できるトレーニングプログラム】
    http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1501/21/news058.html

    ソディック・OPMもこのようなサービスを、もっと展開すれば良いのにと感じています。個人的には独自の資格制度を作るような展開を期待しています。

    1. いつもコメントありがとうございます。
      たぶん、OPMも同じようプログラムを考えたと思いますけど、一方通行のトレーニングではなく、
      OJTとクラウドとの組み合わせを選択したんだと思います。
      OJTとのクラウドを利用することで、企業間のノウハウの共有が可能になります。
      企業間連携によって時間軸を意識したシステムの構築が可能になります。
      極端な話すると、OPMのオペレータが顧客のマシンを遠隔で操作しながらOJTを行うことも可能です。
      DDM方式を取るOPMにとって、顧客は実は発注先でもあるんです。
      これが、OPMとEOSの最大の違いです。
      機械を売って利益を得るために、「使い方」をトレーニングする必要のあるEOSと、OPM250Lユーザーグループとして一体化が可能なOPMとでは
      発想が異なるってことだと思います。
      当ブログの「企業間連携グリッドシステム」にそのヒントが隠されてますよ (^^)v

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