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OPMを認め、ビジョンを明確にしろ

ヤフーしかり、アップルしかり。
時代の流れを理解することは、いと難しくなり。

たぶん多くの投資家は、今年には3Dプリンターで結果を出すに違いないと、何の根拠を持たない空想でソディックに投資したんでしょうね。
デジタルにより、産業革命の先頭を走り、日本の物つくりを抜本的変えるかもしれないって言うことを、実は「当事者」のソディックさえ「まったく理解していない」。
それは、決算資料を見れば解ります。
日本版インダストリー4.0へは一言も言及していないですし。
3Dプリンターに関する記述が多くあっても、それが産業界に対してどんなインパクトを与えるのかには、まったく言及していない。

単純に引き算が足し算になったぐらいにしか考えてない。
今までデジタルとは無縁の業界だから、それがどれほど大きなインパクトを持っているのか理解することができないのかもしれない。
早い話、OPM森本社長が目指す、デジタル革命の意味すら理解していないし、理解しようともしていない。
ちょっときつい言い方をしましたけど、ソディックの一部の人は理解してますよ。
ただ、それを全社的にコンセンサスにすることは不可能。
なぜなら、今でもソディック=放電加工を否定することは絶対にできないですから。
社内的にそれを全面に打ち出せば、ソディックの屋台骨をも揺るがしかねない。
あくまでもソディックからすれば、3Dプリンターは「放電加工機」の補完的な意味でしかない。
しかし、OPMがやろうとしていることが、どれほど大きな意味があるのかを理解しいるのが、「ソディック」ではなく、OPMの顧客であるフォックスコンやアップル・HPだという事実は絶対に無視することはできない。
普通、そんな巨大企業が率先してOPMテクノロジーを採用すれば、戦略的に第一義的なスタンスを取るはずですよ。
でも、ソディックはそうはしない。
理由は簡単「よくわかってないから」。
装置の技術的は側面は理解しても、それがもたらす巨大なメリットを理解することができない。
決算資料を見れば、具体的な方向性に関する記述はゼロ。
3Dプリンターを頑張って開発しますって書いても、将来のビジョンが書かれてなければ、そりゃあ失望します。
まあ、いいです。
OPMはソディックとは関係なく、自分たちが考えるビジョンを信じていればいいと思います。
ソディックはそれを全面的に認めて応援するスタンスを貫けばそれでOK。
それ以外はまったく期待しない。
とりえあず、「保守的」でもなんでもいいですけど、OPMの方向性だけは尊重してほしいし、それを過小評価することだけはやめてほしい。
10年後、OPMがソディックの売上げを超えることも十分に有り得ることですから。

決算雑感

いろんな見方があるのは当たり前のことですね。
相場が投機化してる時点で、決算後の下落は人気株の宿命です。
下がった理由なんて後付けですから。
マスコミで言う「〜からの思惑でウンタラカンタラ」という取って付けた様な理由と同じ。
相場は相場に聞けですから、明確な下落理由がないのであればマーケットの意見が総意というだけの話です。
しかし、それがそのまま企業価値を反映したものでないのも事実。
会社が利潤最大化のための努力をしているので、株価を必死に上げるために頑張っている訳ではないですから。
自分たちは某掲示板のような、我田引水のための道具には正直辟易してます。
自分で情報を調べることもなく、俄か知識であーだこーだと言われてもね。
それを信じて売ったり買ったりするのはちょっと「投資スタンス」からすれば、明らかな間違いだと思います。
という自分も頻繁に「あそこ」に色々書き込んでいたことをも反省する次第ですが。
株式投資を始めて25年経ちましたが、今でもソディック、っていうかOPM程の可能性のある銘柄は早々見つけることはできないです。
単純に株価だけから判断すれば、ミクシーとかのゲーム関連の方が暴騰率は高いのかもしれないですけど、ずっと世界標準銘柄を探してきた自分にとっては「投機」の対象にはなっても「投資対象」にはならない。
だから自分はOPMに賭けたんです。

さて、今回の決算について触れたいと思います。
ソディックの体質として、今回の決算はあまりにも予想通りでした。
この決算から特に中身を精査する必要もないです。
強いて上げるならば「売上高」がコンセンサスよりも約9%も高く設定されている点と、それにも関わらず営業利益は僅かの上昇になっている点。
純利益を減益と予想しているのは、決算資料が出るまではコメントできないですね。
営業益の伸びが低いのは、為替の変動率の問題と仕入れ価格高騰を考慮してるのかな?
但し、ソディックの場合は生産拠点が世界中にありますから、為替変動の影響はそれほど大きくはないと思ってます。
まあ、その辺も外的要因が大きいですから、企業としての価値を考えるに当たって、自分達は「売上高」を基準に判断するしかない訳です。
売上げが伸びない限り営業益も増えないですからね。
さて、今期のコンセンサスと予想の差が約60億。
これが何に当たるのかは公表されませんけど、その中には間違いなくOPM250Lも入ってます。
ある意味コンセンサスよりも60億多く見積った時点、かなり強気だと言えなくもないですね。
ちなみにOPM250Lを60台売った場合の売り上げは約45億ぐらいだと思います。
おそらく、OPM250Lの利益率は他の工作機械よりも断然低いはずですから、会社への利益貢献度は微々たるもんです。
これが、売上げの伸びに対する営業利益率の低下要因ではないかと、個人的には考えてます。
もっと、具体的に言うと、60台の内12台はすでにOPMというグループ企業への提供なので、利益率はさらに押し下げます。
これが売上げの伸びと利益の伸びが相反する原因です。
逆に言えば、この利益率低下がOPM250Lの出荷台数の伸びを証明してると言えなくもない。
まあ、これに関しては、あくまでも希望的な読みですけどね。
さて、問題は今後の展開です。

段階的にはOPMとソディックが主導するDDM事業が柱になってきます。
今回の数字には、その予測を織り込んでません。
なぜなら、それはOPMラボの事業だからです。
前から言っているように、OPM250L本体の売上げとか利益を大きく期待することは、ビジネスモデル的に少し違います。
以前、ストラタシスと3Dシステムズの話をしましたが、OPMが目指す方向はDDM事業でソディックが装置販売。
じゃあ、どちらの利益率が大きいのかというと、圧倒的にDDM事業が大きい。
OPM250Lを量産型として原価を低くしても、100台売って10億がやっと。
しかも、DDM事業では売り切りではなく1台の装置が毎年継続的に売上げを叩き出してくれる。
森本社長がDDM事業とメンテナンス・サポート・サプライ品の売上げ等、数年で100億を目指すというのは大風呂敷でも何でもなく、客観的に可能な数字なんです。
すでに、20台の装置がフル稼働状態で、毎年ドンドン装置を増やし、さらにOPMシリーズが大型化をします。
さらに、OPMラボ以外の企業との連携が始まりますから、夢は広がります。

デジタル化の流れを止めることはできないよ。

勘違いしてる人も多いと思いますけど、OPM250Lという3Dプリンターは、基本的にパソコンデバイスなんですよ。
つまり、本当のプリンターです。
しかし、ソディックという工作機械メーカーが作ると、なんだかアナログの装置だと思ってします。
これが根本的な発想の間違い。
今まで「職人の技」だった「金型」がデジタルで造形できるようになった訳だけど、かなり年齢の行った職人が、今さらパソコンで「金型」を作るってことは相当大変なこと。
しかし、アナログからデジタルへのトレンドは避けて通れない。
もしかしてOPMラボが一番苦労するのは、これらの熟練工に対してコンセプトを説明する部分かもしれない。
さらに、高いハードルがありますね。
従来の二次元水管から三次元水管への移行という部分。
これに関しては従来工法のノウハウがほとんど役に立たない。
でも、時代は絶対に後戻りできない。
だから、多少の時間は掛っても、パソコンで「金型」を作る時代は必ずやってくる。
「精度」とか「時間」とかという悲観論もなくはないけど、現実にそれらがOPMによってフィックスされてしまった。
HPやアップル、ホンダがその有用性を認識して採用している時点で、もう答えは出てますから。
つまり、時間の問題。
様々なリスクを理解した上で、そのトレンドに乗れた会社だけが甘い蜜を享受することができる。

コンフォーマルクーリングはアプリでは作れない

みんなが勘違いしているもうひとつの部分。
もしかすると、投資家だけじゃなくて、金型業界の人間ですら、勘違いしている可能性が大きいかも。
コンフォーマルクーリングテクノロジー=OPMテクノロジーと言えるほど、この技術は3Dプリンターにとって重要な要素です。
逆に言うと、この技術を使えることが金属3Dプリンターの最大のメリットです。
しかし、3Dプリンターなら、簡単にコンフォーマルクーリングの水管を配することが可能だと、思ってる人も多いでしょう。
MOLDEX3Dというソフトがあります。
これは金型造形のためのCADシステムですけど、現在主要は自動車メーカーのほとんどで利用されています。
そして、OPMは、このMOLDEX3DPにコンフォーマルクーリングのシステムを提供しています。
つまり、MOLDEX3DPのソフトを使う自動車メーカーが金型を設計する場合には、OPMのアプリを利用してコンフォーマルクーリングのシミュレーションを行うことができるわけです。
しかしながら、これで簡単にコンフォーマルクーリングを設計できるわけじゃなくて、最終的には水管の最適化は「人のノウハウ」が必要になります。
しかし、そんなノウハウは従来工法の金型職人は持ってません。
じゃあ、どうするのか。
そこで今まで積み上げてきたOPMテクノロジーが必要になるんです。
OPMが長年培ったコンノーマルクーリングテクノロジーをOPM250Lユーザーと共有するための仕組むを考えたんです。
EOSを始めとする欧米企業は基本的に「金属造形のための知識」は高くても、「コンフォーマルクーリング」の技術は持ち合わせてません。
しかし、サイクルタイム短縮にはこの技術が不可欠であるため、どの金属3Dプリンター開発企業は「コンフォーマルクーリングを配することができる」ということを謳い文句にしています。
ただ、ユーザーが欲する情報は「コンフォーマルクーリングを配することができることではなく」て、「どうのようなコンフォーマルクーリングにすればよいのか」という部分です。
これこそ、最重要な問題です。
どれほどレーザー技術が凄くても、どんなに大きな金型を作れても、この「コンフォーマルクーリングに関するノウハウ」がなくては、まったく意味を成さなくなってしまいます。
差別化の部分では、この技術があったからこそ、HPやアップルがOPMを採用した訳ですね。
だから、OPM250Lが売れない訳がない。
装置が凄いから売れるというよりは、「コンフォーマルクーリング」のノウハウも持つOPMがサポートすることが最も大きな導入動機になります。

まあ、決算があーだこーだという前に、今期どんなサプライズが飛び出すか、楽しみに待つことにしましょう!

【続】インダストリー4.0とソディックOPM

2009年の論文を再度考察

一昨日の続きです。
ものには順序やステップがあって、最終的な目的が存在します。
先日少しでだけここに書いたインダストリー4.0は方法論であって、目的ではないです。
当たり前ですが、企業にとっての最終目標は「利潤の最大化」ですよね。
どんなにかっこいい言葉でも、実際に利益が上がらなければ「空論」で終わりますから。
さて、OPMの森本社長はどのタイミングで「企業連携」を意識したのか。
紐解けば、2009年の金属光造形複合加工技術による精密金型製造技術開発と
ネットワーク企業連携の概要

http://www.opmlab.net/tech_paper/images/2009_plastics_age_11-1.pdf
という論文が最初だったと思います。
「企業間連携」システムという概念は、「OA」レベルでは、もう何十年も前からありますが、これが「工場間」というコンセプトになると、ほぼ日本では皆無だったんじゃないですか?
そもそも、工場内には秘密事項が多いですから。
そんな時代に森本社長はどこよりも先に企業連携・工場連携の重要性を説いてます。
ただ、この時点ではおそらく「必要に迫られた」っていうのが正直なところです。

金属3DPは高価な装置ですから、何台も導入することは現実的ではない。
しかも、金型という世界は「同時に複数の金型」を造形する必要がある。
だから、装置1台でだけで金型を造形しても、さほど需要がなく成長も望めない。
しかも、従来工法との組合せする部分もあるため、そのすり合わせも大変。
じゃあ、どうすれば効率的な運用ができるのか、という問いに対する答えが「複数の会社で連携して対処」するというものだったんです。
稼働率の問題や、ユーザーからの要求を満たすための方法論ですね。

本来、森本社長はIT関連企業出身ですから、「ネットワークやらデータベース」という世界も専門家なんです。
金型でもITでも専門家ですから、「生産とネットワークがどうすれば融合できるのか」を考える立場とすれば、これほど適した人間はいない。
インダストリー4.0が提唱される、2年も前の話です。
当時は「IoT」という概念はまだ存在してませんでしたから、逆に時代が森本社長に追いついた格好です。
インダストリー4.0では、生産に掛るすべての情報がインターネット経由で連携し、ビッグデータ・センサー・人工知能等の情報を共有しつつ生産機器が「考えて」生産する世界を目指しています。
これらは、コストの最小化・効率の極限化による「利潤の最大化」が目的です。
常にドイツの動向を意識している森本社長ですから、その辺の情報についても研究していることでしょう。
当然、2009年に考えた連携システムを、さらに発展させたシステムを考えているはずです。
まだ、日本では生産現場における「IoT」の活用は研究が始まったばかりですが、ソディックOPMでは「OPM250L」を活用した「連携システム」の実証実験がすでに進んでいます。
ちょっと面白いのは森本社長は、このIoTに関係する世界的なリーダーと繋がっているってことですね。
自分達が一番期待するのは、これらのリーダーと森本社長が実際にタッグを組んでもらうことです。
そうすれば、もの凄い相乗効果がうまれそうじゃないですか?
って言うか、すでに話が進んでいるかもしれないですよ。
それでは、おやすみなさい。

Zzzzzzzz…

インダストリー4.0 ソディックの思惑 かる〜く想像

かる〜くインダストリー4.0ネタ

昨年来、何度もここのブログでインダストリー4.0を紹介してきました。
3年前からドイツで提唱してきた、第四次生産革命(産業革命じゃないですよ)のことです。
生産における一大変革ですね。
簡単に言えば、生産現場をデジタル化するってことです。
すべての生産設備はインターネットに接続され、デジタルで管理できるようになると宣言したんです。
でも、そんなことは、すでにアメリカの個々の企業で実践されてますから、特段びっくりするような話でもないような気もします。
おそらく、近々そうなるであろうことは、誰しもが気付いていたことだと思いますから。
しかし、それを国家レベルで推進しようという意気込みが凄いじゃないですか。
国策で生産現場を全部デジタル化するぞ!ってことですからね。
工作機械の世界は、そもそも国境なんて存在しない中で仕事してますから、ドイツやアメリカの動向は常にチェック済みです。
ご想像の通り、すべての生産設備はインターネットに繋がって、プログラムされて目的のものが作られるって話です。
まさに、アトムの時代到来ですね。
そんな時代ですから、当然工作機械のメーカー各社はそれに向けた準備を始めてる訳です。
ということで、インダストリー4.0に向けたソディックの思惑を、ちょっとだけ考えます。

OPM250Lの立ち位置

OPM250Lが単なる「道具」だと思ったら大間違いですよ。
これこそ、インダストリー4.0の一翼を担う装置ですから。
言ってしまえば、「きっかけ」です。
ここで、誰かの言葉を思い出しませんか?
フォックスコンの会長テリーゴー氏の「3Dプリンターはギミック(仕掛け)だ」って言う言葉。
この言葉が深すぎて、当時のマスコミでは、いろんな憶測が飛び交いました。
今でもその真意ははっきりしないですけど、いろいろと周辺の情報を調べる中で、この言葉の真意を確信しました。
間違いなく、このインダストリー4.0発想です。
インダトスリー4.0の基本形はロボットと3Dプリンターですが、フォックスコンはロボドリルのファナック、3DPのOPMラボと、深い関係にあります。
そして、テスラへの部品供給とiCarの存在。
近々、フォックスコンはインダストリー4.0と同じコンセプトの工場を建てます。
つまり、「ギミック」とは今後始まるデジタルによる生産革命の仕掛けのことだったんです。
別に、ここで大袈裟に言うことでもなんでもなくて、そういう時代の入り口に立っているのは間違いないですから、当たり前の事を言っているだけです。早いか遅いかの違いです。
世界に冠たるフォックスコン・アップルですから、どの企業よりも先に生産革命を起こすであろうことは、容易に想像できましたよね。
そして、その一翼がOPM250Lになるかもって話です。

ソディックの思惑

それで、先日の日刊工業新聞に「マスカスタマイゼーション」という言葉が一部上場に際して使われました。
マスカスタマイゼーションというコンセプトは、インダストリー4.0の目的ですから、「手段」と「目的」の関係です。
つまり、ソディックはOPM250Lをその先頭バッター(きっかけ)に指定したってことです。
そして、OPMをどうしても傘下に治めたかった本当の理由、それは森本社長の「頭脳」です。
何年も前からマスカスタマイゼーションを提唱してきた森本社長のノウハウが、ソディックの今後を左右します。
単純に「金型」とか「金属3DP」という問題ではなくて、データをどのように活用するのかという、その先の話になっていることを意識する時期に来てますよ。
まあ、今日はこの辺で。。
おやすみなさい。。。
Zzzzzzzz

OPMの世界戦略
【森本ビジョン】

森本ビジョンとは

これは、昨年ブログで書いた内容について、現在の検地から修正・加筆を行ったものです。
今までの内容と重複する部分も多いですが、確認としてご一読ください。

さて、今まで相当の時間を掛けてOPMと金属3DPについて調べてきました。
まだ、マーケットはOPM自体をまったく理解もしていなければ、ソディックとの関係性も分かっていないようです。
ここの投資家は、ソディックからの事業報告書をご覧になられたと思います。
一言で言うと、「社運掛けてる」雰囲気を感じますよね。
でも、まだマーケットは黎明期で売り上げに占めるウェートなんて、微々たるもんです。
それでも、報告書にはOPM250Lが乱舞してます。

しかし、色々調べて見ると、今期以降どんなことが起きるのか結構簡単に予想できます。
ということで、今回は、OPMの戦略=森本ビジョンを考察したいと思います。

森本ビジョン6つの側面

森本ビジョンの6つの側面があると考えています。

  • 1 サービスビューロの世界展開
  • 2 自動車業界参入
  • 3 フォックスコン・HP等、世界中のスーパー企業群との連携
  • 4 金属粉ビジネスモデルの確立
  • 5 3DPデータのクラウド化による世界的ネットワークの確立
  • 6 金属3DPにおける世界標準

別に、この内容って、ほぼこのブログに書いてきたことなので、ここの読者からすればある意味「確認作業」ですね。

1 サービスビューロの世界展開

サービスビューロには2つの役割があります。
ひとつは、金型会社の下請けとしての役割。
そして、もうひとつが実際に装置を導入してもらう、あるいはもらった後のサポートセンターの役割。
金属粉を提供するOPMからすれば、装置を導入してもらっても、実際にサービスビューロ内で金型を造形しても利益が生まれますから、これほど「うまみのあるビジネスモデル」も少ないですね。

このサービスビューロを今後アジアを中心に世界中で展開する予定です。
言い方変えれば、ガンガン工場を建てるよって言ってるのと同意ですね。
これに関しては、ソディックが全面的にバックアップしますから、相当大きな展開になると思われます。

2 自動車業界参入

ソディックOPMのターゲットは間違いなく自動車です。
この理由を説明始めると、メチャメチャ長くなりますが、要点だけ。

 

  • ?3D Moldexへのコンフォーマルクーリングシステム標準搭載
  • ?ホンダとの連携
  • ?フォックスコンによるテスラへの部品供給

 

? 3D Moldexへのコンフォーマルクーリングシステム標準搭載

3D Moldexというのは、ほとんどの世界的自動車メーカーが取り入れている3次元シミュレーションシステムです。
業界で知らない人はいません。
この企業の本社は台湾なんですけど、その顧客群見たらびっくりしますよ。
そのシステムは名前の通り「金型を作るためにシミュレートすることが目的」です。
そこにOPMのコンフォーマルクーリングテクノロジーが搭載されたいうことは、将来的にプラスチックを金属3DPの金型で造形する際に、必然的にOPMを利用した方が有利だと認識してもらうことになります。
当然、EOSとかでもいいんですけど、色んな面で勝負にならないと思います。

 

 ? ホンダとの連携 

昨年のホンダが公開したコンフォーマルクーリングによる金型造形の特許もOPMが絡んでます。
金属3DPの大型化の目的も、その大半が自動車を念頭に置いているものと推察できます。
今、自動車業界は「コンフォーマルクーリング」の話がバンバン交わされているようですし、かなり一般的な言葉になるかもしれません。
この目的は以前にも書きましたが「CFRP」を利用するためです(断言!)。
そのために、早期にレーザー技術を高めた上での大型化が必須なんです。

まさに、一刻も早くって感じ。

 

  ? フォックスコンによるテスラへの部品供給

これはフォックスコンのGOU氏の「ギミック」発言からも分かりますね。
この発言の真意は「テスラ」を取り込むための「仕掛け」って意味だと思います。

 

  3 フォックスコン・HP等、世界中のスーパー企業群との連携

2とも関連しますが、現状でもOPMはHP・アップル・フォックスコンの仕事をしています。
これだけでも凄いんですけど、今後はもっともっと多くの企業と連携をするものと期待しています。
そして、そのキーワードが「サイクルタイムの短縮」です。
昨年のJIMTOFへ行かれて方なら気付いたと思いますけど、どこのブースへ行っても「サイクルタイムの短縮」が一つのキーワードのように掲げられていました。
この記事とデータを見ればいかにサイクルタイムが産業革命の中心かがわかります。

パナソニック

サイクルタイム

http://www.ptonline.com/articles/why-conformal-cooling-makes-ense#

サイクルタイムの削減=利益率の向上が数字として表れてますから。
そのサイクルタイムの減少をもっとも確実に実現できる技術がコンフォーマルクーリング(上のURL)なんですね。

アップルが欲しがるほどの技術ですから、森本社長が絶対的な自信を持つのも頷けます。

これを客観的にみれば、他の世界的な企業も当然OPMと取引したいと思うに違いない。
今年はドンドンそんな話が出てくるものと期待してます。

 

  4 金属粉ビジネス 

  

ソディックはOPMのためだけにOPM250Lを作っている訳じゃないですよね。
世界的に広がるソディックのネットワークやフォックスコンがらみの企業群も多数あります。
そして、そこで造形される金型の金属粉はすべてOPMが提供します。
しかも、売りっきりではなく、継続的に増えて行きます。
1台辺り0.7トンの、単純計算で700×2万5千円=1750万になります。
それが、60台計算で10億w
さらに松浦のLUMEXも対象です。
もう、笑いが止まらない。
それが毎年ドンドン増えるんですよ。
まさに濡れ手に粟のOPMビジネス。

 

  5 3DPデータのクラウド化による世界的ネットワークの確立 

  

アナログからデジタルに移行する場合に最も違う点です。
基本的にOPMはシステムを作る会社ですから、インターネットでのデータ共有は念頭に置いています。
例えば、アメリカのHP本社で3Dデータ作成し、そのデータをクラウドで管理。
そのデータを福井の工場で金型データに展開する。
そんなことは、すでに当たり前なんですけど、OPMはそのネットワークを世界中に広げる予定でいると思います。

 

  6 金属3DPにおける世界標準

  

すでにコンフォーマルクーリング技術については3D Moldexに標準搭載されていますから、この段階で世界標準と考えられます。
基本的に金型に関してはこのコンフォーマルクーリングを配したものになりますし、品質・精度の点から考えて、切削可能な複合加工でなければ正直厳しいですから。
どんなにEOSが凄いレーザーを開発しようが、アップルやHPが採用している時点で、確実に世界標準になります。

さて、ちょっと長くなりましたが、少しはOPMの戦略についてご理解いただけましたでしょうか。
途方もない高みに向けて、OPMから目が離せない。

【ソディックショールーム取材メモ】OPM250L現状分析

ソディックショールームへ行ってきました!

しかしながら、いつ行ったのかは、敢えて言いません。
面がすでに割れているとは思いますが、一応念のため。
対応頂いた方は若い説明担当の方とDDM担当の方。
若い担当の方への質問がコアすぎたせいか、途中で責任者っぽいDDM担当の方に対応してもらいました。

さて、装置そのものについてはJIMTOFで確認済みなので、取材の目的は自分が知りたい情報の確認と新たな情報の収集です。
こちらで用意した質問は以下の通り

  • (1)クラウドの可能性と現状
  • (2)作業内容(一人が複数台を制御?)
  • (3)二次加工の必要性範囲(鏡面加工と二次加工の関係性)
  • (4)自動車業界ではどの部分で使われているのか
  • (5)フォックスコンへの納品は
  • (6)受注状況(テスト状況)
  • (7)チタンはいつになるのか

HP関連や欧州家電メーカーについてはOPM社の問題なので聞いてません。

クラウドの可能性と現状

OPM250Lという存在が、どうも「金属造形装置」としての存在ばかりに目が行きがちですけど、同じぐらい重要な側面として「デジタル」という部分を考える必要があります。
この部分の将来性について、ソディックもOPMもまったくと言っていいほど、見事にスルーしてます。
装置の性能がすばらしいのは、客観的データから理解できますけど、それをどのように利用するのかという「軸」がまったく見えない。
ということで、デジタルとしてのOPM250Lという装置を、どんな存在と考えているのかについて質問しました。

答えとしては、「存在自体は二次元プリンターと同じでPC経由で操作されるため、デジタルの良さを100%活用できる。」
まあ、そうだと思ってましたけど、あの装置の雰囲気として操作パネルからのデータ入力でしか動かないと思ってる人は大勢いると思います。
パンフレットも頂戴したんですけど、この部分の説明はまったくされてないですね。
実は、自分はOPM250Lに限らず、デジタルの良さをもっと全面に出してもいいのではないかと思った次第です。
それで、これに関連して少しカマ掛けました。
DDM担当の方に対して、「森本社長から、世界中のすべてのOPM250Lをクラウドネットワークにするって話をポロって聞いたんですけど、その辺はどうなんでしょうか」
この時の担当営業の表情が実に楽しかった。
「森本さんは、本当にポロッと言っちゃう(笑)」
あーやっぱりそうなんだ。
でも、どこにもそんな情報が書かれていない。
それはそうなんですよ、あくまでも「森本構想」ですから。
でも、デジタル化とはそういうことなんです。
HPやアップル、テスラにしても、すべての情報はクラウドで処理させるって言うのが基本姿勢ですから、これができなかったら、3Dプリンターの意味がない。
当たり前ですね。
基本となるCADデータはHPやアップルの社内で専門部署が作成して、そのデータをクラウド経由でOPM側が取得してCAMデータを作成し造形するんですから。

3Dプリンターのクラウド展開

ちょっと話がそれますけど、現在世界中の3Dプリンター(全部じゃないですよ)は、巨大なクラウドネットワーク下にあって、もし、自分が3Dシステムズの3Dプリンターを購入し、そこのネットワークに参加したなら、知らない内に知らない人から「造形依頼」が舞い込んでくるかもしれない。
それで、「OK」出したら勝手に装置が動き出して、商品が作られる。
作られた商品にはタグが付けられて電話一本でどこかの運送会社が取りに来る。
http://3dprint.com/26713/3d-systems-3dsprint-cloud/

森本社長が考えるクラウドはほぼ同じ発想です。
生産財としてのOPM250Lの稼働率を、極限まで高める方法を考えているんです。
っていうか、誰しもが考えますよね。
付いて行くのが大変そうですけどw

(2)作業内容(一人が複数台を制御)

案外、多くの人が見過ごしてる部分。
先日のこのブログにも書きましたが、2次元の印刷機は基本的に一人が一台の印刷機をオペレートしますけど、3Dプリンターは一旦データを入れて稼動が始まると、何日かは動きっぱなしです。
ですから、極端な話、「スーパーオペレータ」が一人居たなら、世界中のOPM250Lを同時に稼動させることも可能になる(実際にはセットする人が必要ですけど)。
従来工法との決定的な違いですね。
ただ、そのオペレータを養成するためには、従来工法の金型技術+オペレータ技術+コンフォーマルクーリングテクノロジーの修得という高いハードルがあるのも事実です。
現実にはオペレータとコンフォーマルクーリングの設計は別の人になると思いますけど。

(3)二次加工の必要性範囲(鏡面加工と二次加工の関係性)

今回の取材の大きな目的の一つなんですけど、例の「鏡面加工」の話。
あれは、ミーリング作業で実現できると思ってる方がいると思いますけど、実際は「二次加工」ですから。
どんどん硬くなる金属粉ですけど、それを削るミーリングの先端にも限界があります。
但し、そこが問題なのではなくて、「加工時基準線」がなければ「二次加工」は不可能であり、また金属粉から鏡面精度A2が達成できるという部分が凄いんです。

これは、世界中のどのメーカーでもできない、OPM250Lだけの技術です。

(4)自動車業界ではどの部分で使われているのか

現在利用されているのは、ほとんどが小物です。
実際にバンパーとかボンネットとかの利用は難しく、OPM600Lが出たら可能になるかもしれないです。
但し、ソディックOPMのターゲットが自動車であることは間違いないし、現状でもそうです。
なんせ、スマホとかPCの何倍もプラスチック使ってますからね。

(5)フォックスコンへの納品は

今回もっとも驚いた部分です。
OPM250Lが実際に納入された事実はないらしいですが、フォックスコンとソディックの関係が自分達が考えているよりも遥かに強いことに驚きました。
すでに放電加工機は1000台以上納品してるらしく、超ビッグユーザーって言ってました。

(6)受注状況(テスト状況)

ヤフ掲でOPM250Lが売れてるとか売れてないって話がよく出ますよね。
結論から言うと、もの凄く売れる予定ってことです。
この理由を説明します。
担当のお話では、問い合わせは本当にいっぱいある。
但し、実際にそれがユーザーの要求を満たすものかどうかは、ユーザーからのテストが終了してないと判断が付かない。
そのため、今は多くの見込みユーザーがテストを行っている段階。
そりゃあ、一台8000万(システム込み)ぐらいする機械ですからね、当然テストをした後になります。
その後、テストがOKになって初めて設置になりますが、実際に稼動させるには1ヶ月とか2ヶ月とか掛ります。
本格的な営業を開始したのが今年に入ってからですから、答えが出るのは、早くて今月からだと自分は思ってます。
それで、今のテスト状況ですけど、ずっと順番待ちだそうです。
つまり、導入したい企業はいっぱいあるけど、導入は順番待ちになるのではないかと予測してます。
売れるとか売れないとかというよりも、見込み客がわんさかいる状況というのが客観的に見て正しい判断。
実際に売れるかどうか、ユーザーの懐具合と決断のみって感じです。
ただ、周りが導入し始めると、雪崩になるように思います。
すでにHPやアップルが導入している事実は大きいですね。

(7)チタンはいつになるのか

チタンに関しては、以前から公言している通り、担当もチタンについて説明してくれましたよ。
時期については、今は言えないとのことですけど。
今回初めて知った事実として、OPM250Lは鋼材とチタンは同じ機械では使えないんです。
つまり、1台でこの二つの材質は使い分けできない。
理由は聞きましたが、ライバル会社が見てるかもしれないので書きません。
おそらく「医療器具」関連をターゲットにしてる、つまり「金型」ではなく金属部品へも守備範囲が広がります。

と、まあ今回の取材はかなり有意義でした。
会社を半休して言った甲斐がありました。
対応して頂いた担当の方々、お忙しい中ありがとうございました。

GEオイル&ガスによるOPMテクノロジー採用

GEオイル&ガス、LUMEX採用の意味

先日のGEに関するネタですが、ちょっと掘り下げてみます。

GE Oil & Gas Uses 3D Printing to Produce Control Valve Parts at Kariwa Plant

GE Oil & GasはGEのエネルギー部門ですね。
この会社がどれくらの規模で、日本法人のみでの話なのか、本社も絡んでいるのかは不明です。
この文面を見る限る、当面「日本法人」での利用らしいですね。
自分が驚いたのは、GEが松浦を採用したって事実です。
「は?」って思うでしょ?
でも、これがマイクロソフトとかグーグルなら驚かないんです。
逆だろ!
いや、逆ではないんです。
グーグルがOPM250LやLUMEXを採用しても、「まあそうだろうな」って思うと思いますが、GEはEOSや3Dシステムズの3Dプリンタを持ってて、すでにジェット機のエンジン部品とかを造形してるんです。

別会社とは言えグループ企業ですから、当然、実績のある製品を使って金属を造形するのが「普通」じゃないですか?
しかし、敢えて、GEは「MATSUURA LUMEX」を選択したんです。
その理由を自分はいくつか考えました。

  • 一つは、「日本製」であること
  • 一つは、「高精度」であること
  • 一つは、「金型」でも利用できること

日本製であること

この表現はどちらかというと、「日本製で”あった”こと」というのが正しい表現かもしれないですね。
おそらく、LUMEXやOPM250Lが存在していなければ、3Dシステムズ社製を利用していたんじゃないですか?
しかし、日本でも同じ金属3DPが存在することがわかり、テストをしたものと思います。
GEから部品を調達して作るよりも安く購入できる、しかもメイドインジャパンだと。

高精度であること

たぶん、LUMEXの精度は以前よりも上がってるものと推察されます。
特にバルブは「超高精度」が要求されるため、OPMテクノロジーでなければ「要求水準」を満たすことは不可能だったかもしれないですね。

金型でも利用できること。

この記事の文面には、金型への利用も明記されてます。
現状「金型」に関して言えば、OPMテクノロジーが世界標準ですから、「金型」での利用を念頭に置いた選択であったのは間違いなです。

現在GEグループは世界で最も3Dプリンターを活用している企業だと言われています。
その企業グループがOPMテクノロジーを採用した事実が何を意味するのか、誰にもで理解できますよね。
その精度や速度等のメリットは随時本社へ方向されます。
当然、その上位機種のOPM250Lもターゲットになります。
日本では、まだほとんど理解されてませんが、すでにOPMテクノロジーは世界を席捲してます。
でもなぜか「表」には出ませんよね。
すごい技術はそのまま、「企業秘密」だということでしょうか。
逆に、なんでGEがこの事実を公表したんだろうと思うぐらいです。
自分がGEの責任者なら、ライバル企業には教えたくない情報ですからね。

OPMにとっては「売上」以上に大きな意義のある採用だと思います。
当然、ソディックにとっても。