月別アーカイブ: 2015年4月

ソディック・OPMへ投資する訳

ちょっとDDSネタ。
一昨年かな、DDS株をメインにしてたときに「DDSの戦略」っていう書き込みをしました。
グーグルで検索すると出てきますから、読みたい方は是非。
今でも、そのときの予想は変わってませんし、実現間近であるとは思います。
しかし、如何せん世間との認識に大きな差があるのも確か。
日本の、セキュリティーに関する意識がまだまだ低い証拠かもしれないですね。
だから、どちらかと言うと、主戦場を世界にした方が早いかも。
そのためにはNOKNOKとの付き合い方がポイントだと思ってますが、DDSはちょっと行動が消極的すぎるように思います。

なんでソディックへ投資したのか

今日はDDSの話ではなく、ソディックを知って間もない方に、なんで自分がソディック株を持ち続けるのかを判りやすく説明したいと思います。
おそらく、昨年の初動時から持ち続ける投資家諸氏も、思いは共有しているはずです。

急騰のきっかけはOPM250Lの発売というニュースだったんですけど、自分がここへ投資した理由は、実はこれではないんです。
きっかけは、OPM社が出した以下のIR

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2014.07.22
US大手PCメーカは、弊社開発OPM-Stavax金属粉末材料製の
Conformal cooling insert を量産型として本格大量採用を致しました。

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正直、この意味するところが当初まったく理解できなかった。
但し、US大手PCメーカーにこんな会社が採用されるんだ、という少々DDSと似た雰囲気を感じ大いに興味を持ったんです。
それから、これについて調べまくって、その2日後ぐらいにソディック株を購入しました。
しかし、すべてを理解した訳じゃなくて、実は3ヶ月間このIRをずっと「持ち歩いた」んです。
なんだか、毎日この暗号と格闘していたように記憶してます。
ここのIRにはポイントがいくつかあります。

  • 1 大手USメーカーとはどこか
  • 2 stavaxとは何か
  • 3 Conformal cooling insertとは何か
  • 4 量産型とは何か

たった、2行のIRには4つもポイントがあります。
そして、これらを一つづつ紐解いていくことで、OPMラボなる会社がどんな会社なのかが序々に理解出来てきたんです。
最終的に解明できたのは、あのプラスチック展での社長との立ち話でしたけどw
大手USメーカーとは「HP」であり、Conformal cooling insertとはConformal coolingを配した金型だということ。
量産型とは100万ショットに耐え得る強度を持った金型であり、stavaxはその基本粉末だと。

それで、これらのことから何が読み取れるのか。
あのHPは今後3Dプリンターを事業の柱に据える予定である巨大企業であり、その会社が直接OPMと取引したこと。
そして、そのHPが、なぜOPMを採用したのか。
その理由は、コンフォーマルクーリングという生産革命に必須になる技術を認めたこと。
また、HPが認めその効果を確認したという事実は、すでにOPMという企業が世界企業になる可能性を秘めているかもしれないって思った次第。
少々時間を要しましたが、今後OPMラボが、世界でどういう立ち位置になるのか、なんとなく理解できました。

ソディック・OPMの思惑

そして、その後に自分が調べるテーマとして考えたのが、ソディックとOPMはどういう思惑で一緒になったのか。
これもプラスチック展での話で明らかになりました。
そもそも企業同士が一緒になるってことは、お互いの思惑が一致しないと無理です。
ソディックにもメリットがあり、OPMにもそれが必要です。
これを理解するキーワードは「ビジネスモデル」にありました。

現在3Dプリンターの世界には2社の巨人が存在します。
両社とも本拠地はアメリカです。
一つは3Dシステムズで、もう一社がストラタシス。
3Dシステムズのビジネスモデルは顧客に対し、3Dプリンターのソリューションを提案すること。
また、そのために3Dプリンターの関連企業を次々に買収しました。

一方のスタラタシス社のビジネスモデルはDDM事業。
DDMとは、いわゆる造形物を受注して納品するサービス事業。
OPMが目指すのがスタラタシスで、ソディックが目指すのは3Dシステムズです。
この話は間違いなく、森本社長は金子社長に伝えていると思います。
そして、今後、このDDM事業マーケットは途方も無く拡大することも。
また、OPMが提唱するマスカスタマイゼーションによって、DDMはすべてネットワーク化され、日本版インダストリー4.0のモデル事業になると思います。
ソディックはOPM250Lで造形された冷却水間入り金型を活用し、今まで弱点だった「射出成形機」の販売にも繋げる思惑です。
また、このデジタル工作機器を全面に打ち出して「インダストリー4.0」に対応していく姿勢をとってます。

結論として、ソディックとOPMは2つのビジネスモデルとインダストリー4.0への対応という意味から一緒になったんではないかと。

ほとんどの投資家は、こんな思いを無視して「日々の値動き」に一喜一憂していると思います。
しかし、この2社が近々どんなインパクトを世界に与えるのか、少し考えれば容易に想像できますよ。
大手も同じ事をやるから、そんなに簡単には事が進まないという方もいますが、それが「無理」であることは森本社長と金子社長のコンセンサスになってます。
なんでもかんでも真似できると思ったら大間違いですからw

ストラタシスの思惑

ストラタシス 日本進出を本格化

アルテックがリコーとDDM事業で業務提携って話でアルテック株はストップ高しました。
まあ、内容をろくに知らない人間が、よく買えるものだと。。。。
アルテックに投資した人間が、ここのブログを見ないことを願って、少しだけ解説します。
これは、ソディックOPMにも大いに関連することですから。

DDMとはDirect Digital Manufacturing
簡単に言えば、みんなのデジタル工場ですね。

アルテックの情報を見ても、具体的な情報はどこにもないので、リコーからの情報。
基本的にストラタシスの装置を10台設置して、ストラタシスの指導の下、DDM事業を展開しますってことです。
それで、営業はアルテックが担う。

おそらく、リコー側もすぐに利益が上がるとは思ってないでしょうね。
将来への布石です。
でも、この技術立国日本で、何が悲しくてストラタシスなんだと。
精度も違えば、レーザーも違うし、切削もできない。
まあ、金型の占めるウェートがさほど高くないからでしょうけど。
それか、この世界にもの凄く疎いかですね。

いきなり核心の話ですけど、今回の提携話のもとは「ストラタシス」だと思います。
知ってる方も多いと思いますけど、ストラタシスのビジネスモデルは「装置」の販売だけじゃなくて、このDDM事業なんです。
どちらというと、DDMがメインって感じ。
これが3Dシステムズと最も異なるところ。
3Dシステムズは3Dプリンター関連企業の買収と「ソリューション」で世界一に。
ストラタシスはDDM事業で世界一になりました。
まあ、3年後にはOPMとソディックが両方で世界一になってるかもしれないですけど ← ちょっと嘘入ってます。

さて、そのストラタシスがリコーを巻き込んでDDM事業に乗り出しました。
多くの方は「リコーとアルテック」に目が行くと思いますけど、自分は「ストラタシス」の戦略しか興味がありません。
基本的に日本で地盤のないストラタシスですから、日本へ進出するためには、どうしてもどこかと提携する必要がある訳です。
そのために、アルテックを通じてリコーへ話を持ち掛けたんでしょう。(たぶん)
それを証拠にリコーに対策本部ができたのが、昨年の9月。
それから半年でサービス開始ですから、リコーからすれば、まったくもって急な話だったんです。
ストラタシスからすれば、DDM事業のノウハウがある訳ですから、ほしいのは単純に「リコー」というブランドのみ。
そして、アルテックの役割は営業のみ。
いくら、DDMのノウハウをリコーがもっていたと言っても、DDMを生業としてる訳じゃないですからね。
つまり、今回の提携話は単にストラタシスが日本進出するにあたって、パートナーがほしかっただけの話です。
足固めのための戦略が今回の提携話ということです。
しかし、今回の話はOPMソディックにとってもいいことです。
DDMの存在を世に知らしめる絶好の機会になりますし。
別にライバルでもなんでもなくて、マーケット拡大のためには必要なことです。
さらには、現状ストラタシスとOPM250Lは完全に棲み分けができている状態ですし。
特に「金型」分野では、OPM250Lの精度が圧倒してて、切削できない装置ではそもそも勝負になりませんから。
まったくもって、今回の話はソディックOPMにとってメリットが大きいと思います。
ストラタシスは当然OPMの存在を知っています。
たぶん、森本社長とトップは面識があるはずです。
HPがOPMへ直接発注したもことも知ってるでしょうし。
両者が切磋琢磨することで、いよいよ第四次産業革命が始まりますよ。

【続】インダストリー4.0とソディックOPM

2009年の論文を再度考察

一昨日の続きです。
ものには順序やステップがあって、最終的な目的が存在します。
先日少しでだけここに書いたインダストリー4.0は方法論であって、目的ではないです。
当たり前ですが、企業にとっての最終目標は「利潤の最大化」ですよね。
どんなにかっこいい言葉でも、実際に利益が上がらなければ「空論」で終わりますから。
さて、OPMの森本社長はどのタイミングで「企業連携」を意識したのか。
紐解けば、2009年の金属光造形複合加工技術による精密金型製造技術開発と
ネットワーク企業連携の概要

http://www.opmlab.net/tech_paper/images/2009_plastics_age_11-1.pdf
という論文が最初だったと思います。
「企業間連携」システムという概念は、「OA」レベルでは、もう何十年も前からありますが、これが「工場間」というコンセプトになると、ほぼ日本では皆無だったんじゃないですか?
そもそも、工場内には秘密事項が多いですから。
そんな時代に森本社長はどこよりも先に企業連携・工場連携の重要性を説いてます。
ただ、この時点ではおそらく「必要に迫られた」っていうのが正直なところです。

金属3DPは高価な装置ですから、何台も導入することは現実的ではない。
しかも、金型という世界は「同時に複数の金型」を造形する必要がある。
だから、装置1台でだけで金型を造形しても、さほど需要がなく成長も望めない。
しかも、従来工法との組合せする部分もあるため、そのすり合わせも大変。
じゃあ、どうすれば効率的な運用ができるのか、という問いに対する答えが「複数の会社で連携して対処」するというものだったんです。
稼働率の問題や、ユーザーからの要求を満たすための方法論ですね。

本来、森本社長はIT関連企業出身ですから、「ネットワークやらデータベース」という世界も専門家なんです。
金型でもITでも専門家ですから、「生産とネットワークがどうすれば融合できるのか」を考える立場とすれば、これほど適した人間はいない。
インダストリー4.0が提唱される、2年も前の話です。
当時は「IoT」という概念はまだ存在してませんでしたから、逆に時代が森本社長に追いついた格好です。
インダストリー4.0では、生産に掛るすべての情報がインターネット経由で連携し、ビッグデータ・センサー・人工知能等の情報を共有しつつ生産機器が「考えて」生産する世界を目指しています。
これらは、コストの最小化・効率の極限化による「利潤の最大化」が目的です。
常にドイツの動向を意識している森本社長ですから、その辺の情報についても研究していることでしょう。
当然、2009年に考えた連携システムを、さらに発展させたシステムを考えているはずです。
まだ、日本では生産現場における「IoT」の活用は研究が始まったばかりですが、ソディックOPMでは「OPM250L」を活用した「連携システム」の実証実験がすでに進んでいます。
ちょっと面白いのは森本社長は、このIoTに関係する世界的なリーダーと繋がっているってことですね。
自分達が一番期待するのは、これらのリーダーと森本社長が実際にタッグを組んでもらうことです。
そうすれば、もの凄い相乗効果がうまれそうじゃないですか?
って言うか、すでに話が進んでいるかもしれないですよ。
それでは、おやすみなさい。

Zzzzzzzz…

インダストリー4.0 ソディックの思惑 かる〜く想像

かる〜くインダストリー4.0ネタ

昨年来、何度もここのブログでインダストリー4.0を紹介してきました。
3年前からドイツで提唱してきた、第四次生産革命(産業革命じゃないですよ)のことです。
生産における一大変革ですね。
簡単に言えば、生産現場をデジタル化するってことです。
すべての生産設備はインターネットに接続され、デジタルで管理できるようになると宣言したんです。
でも、そんなことは、すでにアメリカの個々の企業で実践されてますから、特段びっくりするような話でもないような気もします。
おそらく、近々そうなるであろうことは、誰しもが気付いていたことだと思いますから。
しかし、それを国家レベルで推進しようという意気込みが凄いじゃないですか。
国策で生産現場を全部デジタル化するぞ!ってことですからね。
工作機械の世界は、そもそも国境なんて存在しない中で仕事してますから、ドイツやアメリカの動向は常にチェック済みです。
ご想像の通り、すべての生産設備はインターネットに繋がって、プログラムされて目的のものが作られるって話です。
まさに、アトムの時代到来ですね。
そんな時代ですから、当然工作機械のメーカー各社はそれに向けた準備を始めてる訳です。
ということで、インダストリー4.0に向けたソディックの思惑を、ちょっとだけ考えます。

OPM250Lの立ち位置

OPM250Lが単なる「道具」だと思ったら大間違いですよ。
これこそ、インダストリー4.0の一翼を担う装置ですから。
言ってしまえば、「きっかけ」です。
ここで、誰かの言葉を思い出しませんか?
フォックスコンの会長テリーゴー氏の「3Dプリンターはギミック(仕掛け)だ」って言う言葉。
この言葉が深すぎて、当時のマスコミでは、いろんな憶測が飛び交いました。
今でもその真意ははっきりしないですけど、いろいろと周辺の情報を調べる中で、この言葉の真意を確信しました。
間違いなく、このインダストリー4.0発想です。
インダトスリー4.0の基本形はロボットと3Dプリンターですが、フォックスコンはロボドリルのファナック、3DPのOPMラボと、深い関係にあります。
そして、テスラへの部品供給とiCarの存在。
近々、フォックスコンはインダストリー4.0と同じコンセプトの工場を建てます。
つまり、「ギミック」とは今後始まるデジタルによる生産革命の仕掛けのことだったんです。
別に、ここで大袈裟に言うことでもなんでもなくて、そういう時代の入り口に立っているのは間違いないですから、当たり前の事を言っているだけです。早いか遅いかの違いです。
世界に冠たるフォックスコン・アップルですから、どの企業よりも先に生産革命を起こすであろうことは、容易に想像できましたよね。
そして、その一翼がOPM250Lになるかもって話です。

ソディックの思惑

それで、先日の日刊工業新聞に「マスカスタマイゼーション」という言葉が一部上場に際して使われました。
マスカスタマイゼーションというコンセプトは、インダストリー4.0の目的ですから、「手段」と「目的」の関係です。
つまり、ソディックはOPM250Lをその先頭バッター(きっかけ)に指定したってことです。
そして、OPMをどうしても傘下に治めたかった本当の理由、それは森本社長の「頭脳」です。
何年も前からマスカスタマイゼーションを提唱してきた森本社長のノウハウが、ソディックの今後を左右します。
単純に「金型」とか「金属3DP」という問題ではなくて、データをどのように活用するのかという、その先の話になっていることを意識する時期に来てますよ。
まあ、今日はこの辺で。。
おやすみなさい。。。
Zzzzzzzz