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iCarについて、そろそろ書いといた方がいいかも

iCarへの取り組みは自然の流れ

昨年の12月頃から、自分のブログの中で「今年のテーマは自動車になる」と何度も訴えてきました。
ただ、今までも、自動車はマーケットの中心に位置してきてますから、今年に限ったことではないですけどね。
しかし、ここ数年と違うのは「自動車のあり方」というか「作り方」というか「カテゴリ」というか、とにかくコンセプト自体が変化するように感じます。
その理由をいくつか考えます。

自動車の目的が変わる

たぶん、今年が本格的にEV市場が確立される年になると思います。
すでに、多くのユーザーの選択肢になってるでしょうし。
しかし自分が考えるコンセプトは、「ガソリンかEVか」ではなく「移動手段か通信手段か」って感じ。
ガソリンからEVや水素と言った代替エネルギーへの流れは、トレンドとしては誰しもが実感してますけど、「従来メーカーの車かIT企業の車」かという選択肢を持つ人は皆無でしょうね。
前のブログに、「テスラは走るスマホ」だと書きました。
単にエネルギーが油から電気に替えるのが目的じゃなくて、走るスマホを作るのが目的。
その理由は、EVがガソリン車に比べて遥かに構造が単純だから。
iMiEVが開発されてから9年。
その大部分は電池性能の向上に向けられてますよね。
つまり、EVは性能がどうのという問題以上に「電池、特に充電の問題をいかにクリアーするのか、あるいは、インフラをどうするのか」と言った問題の方が遥かに重要だった。
そして、それらが今年になってようやくクリアーされようとしてます。
そんな外部環境が整ったということは、従来自動車とは無縁だった企業も「自動車産業」へ参入することが可能となる。
自動車産業は世界最大の産業ですから、環境さえ整えば、IT企業は真っ先にターゲットにするはず。
結果、寡占状態だった業界が、一挙に激烈な競争にさらされるようになる。
これは、昨年からいろんなところで囁かれてますよね。

その先鞭を付けたのがテスラモータースです。
グーグルもアップルも、マイクロソフトも、当然のように参入してきます。
単に車本体のみならず、「走るスマホ」のマーケットは巨大ですから。
それだけ激しい競争を勝ち抜くためには、今まで以上にいろんなものが必要となります。

自動車業界が目指しているもの

何度か書いてますが、今自動車業界では3つの大きな動きがあります。

  • 1)車体軽量化
  • 2)自動運転
  • 3)サイクルタイムの短縮

1)車体軽量化

これは言わずと知れた、CFRPやCFRTPと言った、軽量化のためのプラスチック素材開発。
すでに実現しているメーカーもあります。
おそらく、今年最大の動きになります。

2)自動運転

今話題の自動運転ですが、これに関してはかなり「ブーム先行」のような気がします。
たぶんまだ「基礎研究」段階で、実用化には数年、利益になるには10年ぐらいは必要じゃないですか?
ですから、「自動運転銘柄」だと聞いて、今からそれを「投資対象」として研究するには早すぎるように感じてます。

2)サイクルタイムの短縮

かなり地味な動きに見えますが、生産のサイクルを30%短くなると、利益率は40%上がるとの統計があります。
他の業界からの参入が激しくなると、価格競争力がなければ生き残ることは困難です。
そのため、生産に関わるサイクルをいかに短くするのかを、メーカーは第一義的にとらえています。

アップルの思惑

以上のような現状をすべて把握した上で、アップルはテスラやグーグルの動向をずっと注視してきました。
当然、スマホの伸び率が鈍化していることを認識した動きです。
アップルとフォックスコンは蜜月関係にあり、フォックスコンはテスラとも関係が深いため、アップルが自動車産業へ入るためのハードルはそれほど高くないように感じます。
そして、フォックスコンとOPMの関係は誰しも知ってますよね。
森本社長が、直接アップルに助言したかどうかは不明ですが、森本社長が私に教えてくれた言葉から、フォックスコン経由でアップルの耳にいろんな情報が入っているんだろうなって推測できます。
「今度テスラにフォックスコンが部品提供しますけど」
「あ〜あれは私が方法を考えた」

?????

なんだろう「方法」って。
たぶん、コンフォーマルクーリングのことでしょうけど。
OPM →フォックスコン →テスラ/アップル

実は、自動車業界が目指しているものの中で、1)と3)に関しては「どこかの装置」が果たす役割は決して小さくない。
という事実を知っといた方がいいかもしれませんね。

断っておきますが、あくまでも私見なので、まったく信じる必要はないです。でも、すでにOPMが大きな影響力を持ち始めているのは事実のようですよ。

OPMをざっくりとまとめました。

引越し最初の記事ですから、まずはOPMについてのまとめを書きたいと思います。

昨年、ソディックがOPMラボを傘下に収めました。

そのOPMこそ、今、世界中から注目を集める「日本のものつくり」を代表する企業なのです。

その理由を説明すると長くなりますが、少々お時間を。

金型の世界が変わる

今、日本の金型業界は、ガタガタ業界と揶揄されるほど悲惨な状況にあります。その理由は、東アジア諸国の台頭です。

精度がそれほど必要としない金型は、年々日本から中国へと流れ、精度の高いものだけを日本で造形するという状況が続いています。
しかも、近年になってその中国の技術レベルが高くなり、本来日本でしか造形できないような「精密機器向けの金型」も中国で作られるようになっています。
証拠として、昨年日本を代表する金型メーカーがタイの企業に買収されてしまいました。。
日本での金型技術者に対するステータスは、客観的には高くないですが、中国では種々のエンジニアのトップに位置し、ステータスは極めて高い職業となっています。

この要因は、中国が金型を国策に指定しているためで、基幹産業と考えてるからです。これは様々な資料から確認することができます。
そんな状況の中、その金型業界と極めて密接な関係にあるソディックがOPM社を買収しました。買収とは言ってもOPMが参加したって言った方が適切かもしれません。

OPMの思惑

OPMが求めるものとは

  • 1)金型造形に関する高い技術力
  • 2)金属3Dプリンターの開発に必要な資金力と技術力
  • 3)DDM(サービスビューロ)展開への全面協力

1)金型造形に関する高い技術力

この話の前に、なんで「金型」なのかってことですけど、ソディックOPMが開発した金属3Dプリンターは「金属光造形複合加工」って技術が使われてます。
この技術は今から20年ぐらい前にパナソニック、OPM、松浦製作所、九州大学.etcとかが研究を始めた技術で、その目的が「金型を早く作りたい」ってことだったからです。

ソディックという会社は「放電加工装置」がメインの会社ですけど、ご存知のように、この装置の主な納入先は金型業界です。ちなみにフォックスコンへも多く納品されてますよ。
金属3Dプリンターで造形しても、放電加工で造形しても、最終的な目的は「金型」です。
足し算か引き算かの違いだけです。
ですから、基本的に「金型」に精通していることが「絶対条件」になる。
OPMはその技術力を必要としたんです。

2)金属3Dプリンターの開発に必要な資金力と技術力

開発には多額の研究開発費が必要です。
OPMはなんだかんだ言って小企業ですから、世界中からのニーズに対するソリューションを行うためには、資金的な裏付けが必要です。
そして、その研究開発をソディックと共同で行うことで、世界No1の金属3DP装置を開発することが可能になる。
1)とも関係しますが、OPM250L開発のための資金と技術力が必須だったんです。
但し、実際にソディックが研究開発のための費用を出しているかどうか知りませんが。
少なくとも、資金的な協力は惜しまないものと思います。

3)DDM(サービスビューロ)展開への全面協力

グループ参入時に森本社長と金子社長はビジネスモデルについて意見を交換しているはずです。
ソディックのビジネスモデルは基本的にハードを販売してなんぼの世界(ソディック自体も、実はソディックFTで金型の受注はしています)ですが、OPMのビジネスモデルは「金型を受注すること」です。
そして、その拠点となるのがDDM(Direct Digital Manufacturing)サービスビューロです。
間単に言えば金型会社の下請けですが、それだけが目的ではないです。
その他、OPM250Lの販売・メンテナンス拠点・展示等です。
OPMとソディックの世界戦略は、このDDMを世界中に展開することで、OPM250L本体とそれに伴う金属粉の販売を行う。
また、構想の中には、世界中に広がるOPM250Lを巨大なネットワークで結び、生産効率の向上と情報ノウハウの共有化を行うこと。
つまり、このDDMこそが、ソディックにとっても大きなビジネスになる可能性があるんです。
すでに昨年福井でアジア最大のサービスビューロを立ち上げました。
今年はこの後、アジア各国で同様のサービスを進めるつもりでいます。

OPMの潜在力

ちょっと親の欲目かもしれないですけど、OPMが持つ潜在力は凄まじいと感じています。
この潜在力とはズバリ「開発力」。
そして、その源泉は、「知識量」。
今年に入ってOPMはHPと大手欧州電機メーカーから金型を受注しています。
HPとは数年単位でクラッシュアンドビルドを繰り替えし、ようやく大量受注にこぎつけました。
また、一昨日は鏡面SPI-A2(よくわからないけど、物凄い鏡面らしい)を実現するための金属粉を開発してます。
これ以外にも、従来工法と同等以上の強度を誇る金属の開発とか、ポーラス構造体造形とか、コンフォーマルクーリングとか、つまり、OPMが開発した様々な材料や技術は、世界の相手を周回遅れに追いやってる状況です。
特にコンフォーマルクーリングテクノロジーは他の追随を許しません。
そうでないと、世界中の巨大企業群がこぞってOPMと契約するとか、ちょっと考えられませんよね。
なんで、マスコミはこの状況を報道しないのか、本当に理解に苦しみます。
もし、NHKで特集なんか組んだら、もの凄い反響が来るんだろうなあ。
だって、もの作りの基本が変わりますからね?
昨年のJIMTOFへの香港・台湾・中国から大津波のように人が押し寄せました。
この状況は、すでに装置・技術が世界で認知され、我先に自分の技術にしたいとの思惑があるからですよ。

まとめるつもりが、まとまらなかった。。。。
本当はこの10倍ぐらい書きたいところですが、とりあえずヤフブロのバックナンバーを確認してください。

旧ブログ読者の方、なんなりとコメントくださいね。
今後とも何卒よろしくお願いします。