企業連携グリッドシステム


逆立ちしても、EOSがOPMに勝てない理由

本題に入る前に昨日のおさらい。
森本社長があそこまで自信に満ちたコメントをするには理由があるんです。
実際に「金型」として実用レベルにこぎつけたは、今から6年ぐらい前。
それまでは、まったく使い物にならないレベルで4ヶ月間装置動かないとか、試作してもまったく商品にならない時期も。。
寝る暇もないぐらい根を詰めても、使える金型造形ができない。
そんな悲壮な毎日が続いていたそうです。
絶望的な日々の中、転機になったのが平成15年から始まった産官学連携の政府系プロジェクト。
これによって、一筋の光が差してきます。
そして、その後に採択された「金属光造形複合加工と成形技術の高度化による企業連携グリッド構築」に参加することで、さらに高度な技術が開発され、ようやく「使える金型」を造形することが可能になったんです。
このような紆余曲折で森本社長が得た結論、それは「部品のための金型」を造形するためには、「切削が同時に行える複合加工しかダメだ」というものです。
逆に言えば「切削ができない金属3DP」では「部品のための金型」を造形することは不可能だと。
だから、どんなに逆立ちしてもOPMがEOSに負ける訳がない。
それが、長年の経験から導き出された結論です。

企業連携グリッドシステム

さて、これとは別にもう一つの側面を紹介します。
一口に金型と言っても、ひとつの製品で複数の金型が必要となります。
しかし、金属3DPを複数持てる会社なんて、ほとんどありません。
それに、ひとつの製品の中で、たった一つの金型だけを受注しても意味がないし、効率的とは言えません。
このような状況を打破するための方法として考えられたのが「企業連携グリッドシステム」と言われる発想。
簡単に言うと、複数の3DPをインターネットですべて繋げて連携し、リソースを共有しようとするもの。
OPM社内に統括サーバーを置き、工程管理から装置管理までを行う。
そして、そのサーバーには金型造形に関するノウハウや造形データまでもDB化し管理する。
単純なクラウドではなく、巨大な金属造形3DPネットワークを形成するというもの。

逆にこれができないと、一つの製品の金型さえまともに造形することができないし、どんなに優れた装置でも、大きなネットワークで連携しないかぎりその威力を生かすことができない。
元々、森本社長はこの分野のエキスパートでしたから、発想そのものを具現化することは可能だと思います。
問題はシステム以上に、それを生かすための企業スキルの方かもしれないですね。

このことは前にも説明しましたが、今後のOPM250Lの成功を左右する重要な問題になります。
現状では、すでにOPM社内でこのネットワークは実現されていますが、今後、複数の企業がこのネットワークに参加するようになれば、本当に大きな産業になりますよ。
但し、これはまだ実験中のようです。
もしかすると、「東新」さん辺りで実験中かもしれないですね。
さあ、どうなんでしょう。
今後の展開が楽しみです。
近々これに関する情報が出されると思ってます。

企業連携グリッドシステム」への6件のフィードバック

  1. いつも丁寧な分析ありがとうございます。
    自分が最も注目しているのはこの分野です。もちろん個々のOPMシリーズによる金型製作の省力化やコンフォーマル・クーリング、ポーラス構造等による生産性の向上は大事ですが、スタンドアローンでは力が足りません。機器同士がネットワークで結ばれるというのはかなり大きいことです。ネットワーク化に成功した少数の先行者による寡占化は、ここ二十年くらいさまざまな業界で起きており、金型業界、ひいては金属部品業界でもそうなることは歴史の必然でしょう。その波をソディックOPMグループが最初に起こしてくれることを大いに期待しています。

    1. コメントありがとうございます。
      発想自体はもう7年も前からあって、すでに具体的なスケジュールも組まれてるようですよ。
      福井DDMでは、実証実験も始まってると想像してます。
      この凄いところは、「企業間が単なる業者間ではなく、顧客間にも広がる」ってところです。
      実際にストラタシスや3Dシステムズは世界的クラウドネットワークを確立させてます。
      これを、生産現場に持ち込むことが早期にできれば、まさに「世界標準」の達成です。

  2. 日経電子版のテックの現場をゆくを見ましたか?
    内容が非常に濃いですよ。
    東新製作所とopmラボとの出会いのきっかけや、現在、海外のEMSから装置を導入して4ヵ月しか経っていないのに商談が来ていることなどです。
    全く金型作りの素人だった東新が早速このような反響があるなんて、凄いことだと思うのですがいかがでしょう

    1. リュウさん、いつもありがとうございます。
      いや、まったく知りませんでした。
      できれば、ソースをお願いしたいのですが。

      よろしくお願いします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>